SEC、暗号資産トレジャリー企業の取引を停止、1000%急騰後に何がレッドフラグを引き起こしたのか？

米国証券取引委員会（SEC）は、QMMM Holdingsの株価が今月ほぼ1,000%急騰し、同社が暗号資産のトレジャリー構築計画を発表したことを受け、9月29日に同社の取引を停止しました。

香港を拠点とする同社がBitcoin、Ethereum、Solanaに1億ドルを割り当てる動きは、個人投資家の間で熱狂的な需要を引き起こしました。アナリストは、この急激な価格変動は、伝統的な企業がデジタル資産へと転換する際の継続的なボラティリティを反映していると指摘しており、規制当局が監視を強化している中でもその傾向が見られます。

SEC、不審な市場活動を指摘

SECは公式声明で、「SNSを通じて正体不明の人物から投資家に対して行われた推奨」により、取引量と価格が膨らんだ懸念があるとして、10月10日までQMMMの取引を停止すると説明しました。QMMMの株価は9月初めの12ドル未満から200ドルまで急騰し、1,500%以上の上昇となりました。SECは、過去のポンプ・アンド・ダンプスキームに見られる「人工的に刺激された需要」のリスクを強調しました。

ケイマン諸島の持株会社構造を通じてNasdaqに上場しているQMMMは、今回の取引停止についてまだ公にコメントしていません。同社の暗号資産トレジャリー計画は、今年初めにデジタル広告事業を拡大して以来、初の大きな戦略的転換となります。

QMMM株価の過去1か月の推移 / 出典: Yahoo Finance

投資家は規制強化に備える

市場専門家は、今回の取引停止が企業の暗号資産トレジャリーを巡る投機的熱狂を抑制する可能性があると述べています。中型株がデジタル資産に転換するたびに個人投資家の資金流入がほぼ即座に急増するものの、こうした急騰は操作防止を目指す規制当局の注視を集めやすいと指摘しています。

また、金融業界規制機構（FINRA）およびSECが、デジタル資産関連発表前の取引急増について複数の企業に接触したとも報じられています。観測筋は、こうした監視強化により、特にこれまで暗号資産への関与が限定的だった企業の同様のトレジャリー戦略が鈍化する可能性を示唆しています。

それでも、Bitcoin、Ethereum、Solanaの企業導入は依然として上昇傾向にあると支持者は主張します。QMMMの株式は短期的に不透明感に直面する可能性があるものの、伝統的企業による暗号資産の受け入れ拡大は、業界全体のトレジャリー管理のあり方を大きく変革しつつあります。

Bitcoinを保有する上場企業 / 出典: BiTBO

約200社の上場企業が、総額1,120億ドルを超えるデジタル資産を保有しており、企業によるBitcoin（BTC）保有量は100万BTC（総供給量の4.7%以上）を超えています。企業が積極的に分散投資を進める中、EthereumやSolanaを含む企業のアルトコイン保有額は現在100億ドルを超え、ある企業のETH保有額だけでも110億ドルを上回っています。