Bitcoin ETF、4億9000万ドル流出、BlackRockが詐欺スキャンダルに直面

主要な暗号資産ETF（BitcoinおよびEthereum）は、10月30日木曜日に合計6億7200万ドルの流出を記録しました。BlackRockのIBIT ETFは2億9100万ドルの流出、ETHAは1億1800万ドルの流出となりました。

一方で、BlackRockのプライベートクレジット部門に関連する5億ドル規模の通信ファイナンス詐欺が機関投資家市場を揺るがし、リスク管理とデューデリジェンスに対する新たな懸念が生じています。

機関投資家によるETF償還はリスク回避を示す

Farside Investorsのデータによると、主要資産運用会社の機関投資家クライアントは、10月30日にBitcoin ETFから4億9000万ドルを引き揚げました。

BlackRockのIBITが2億9090万ドルの償還で流出を主導しました。Fidelity、Bitwise、ARK、Invesco、VanEck、Grayscaleも大きな流出を記録しています。Ethereum ETFは1億8400万ドルの損失となり、そのうちBlackRockのETHAが1億1800万ドルを占めました。

Bitcoin ETFの流出額は2025年10月30日に4億8840万ドルに達しました。出典： Farside Investors

これらの大規模な引き出しは、マクロ経済の不確実性が高まる中で、リスクからの広範な撤退を示しています。アナリストは、この流出をパニック売りではなく、利益確定やポートフォリオの調整と見ています。

機関投資家は依然としてリスクを削減しており、$BTCおよび$ETHの現物ETFは大きな流出を記録しました。BlackRockの$IBIT（-2億9100万ドル）と$ETHA（-1億1800万ドル）が主導し、合計で4億8800万ドルと1億8400万ドルです。しかし、$SOL ETFは静かに3700万ドルの流入を記録しました。一部の資本が再び高ベータ銘柄にローテーションしているようです。

— Kyledoops (@kyledoops) October 31, 2025

特筆すべきは、これはBlackRockのプライベートクレジット部門で大規模な詐欺が明らかになったことを受けて、同社への監視が強化された時期と重なっていることです。このタイミングが投資家の不安を高めています。

BlackRockの詐欺スキャンダルがプライベートクレジットのリスクを露呈

BlackRockの問題はETFの流出にとどまりません。Bloombergによると、同社のプライベートクレジット部門であるHPS Investment Partnersは、架空の売掛金を利用した通信ファイナンススキームで5億ドル以上の損失を被りました。

ニューヨーク州最高裁判所への訴状によれば、借り手であるBroadband TelecomとBridgevoiceは、T-MobileやTelstraなどの企業の偽造契約書や請求書を担保として多額の融資を受けていました。裁判所の文書には、長年にわたる組織的な偽造と虚偽表示の詳細も記載されています。

この詐欺は2025年8月に発覚し、破産や訴訟に発展しました。これらの融資でBlackRockと提携していたBNP Paribasも訴訟に名を連ねています。

このスキャンダルは、BlackRockがHPSを120億ドルで買収してからわずか90日後に発覚しました。この買収は2025年7月1日に完了し、BlackRockのプライベートクレジット分野での影響力拡大を目的としていました。しかし、今回の発覚により、買収プロセスにおけるデューデリジェンスやリスク管理体制に疑問が投げかけられています。

BlackRockのプライベートクレジット部門は、インド人のBankim Brahmbhattによって5億ドル以上の詐欺被害を受けました。BrahmbhattはCarriox Capitalという通信ファイナンス会社を運営し、T-MobileやTelstraなどの大手通信会社の顧客契約書や請求書を偽造していました。

— AF Post (@AFpost) October 30, 2025

それにもかかわらず、BlackRockはこの混乱の中でもETF分野で明確なリーダーであり続けています。US Crypto Newsの分析によると、IBITは2025年初頭から純流入額が281億ドルに達し、他の全競合他社の合計を上回っています。

IBITを除外すると、今年このセクターは12億ドルの純流出となっていたはずです。このような集中は、BlackRockがエクスポージャーを削減する必要が生じたり、大規模な償還に直面した場合、暗号資産ETF市場全体の流動性が枯渇する可能性があるとして、システミックリスクへの懸念を高めています。

ショート清算と市場のボラティリティが迫る

機関投資家の資金がBitcoin ETFから流出する中、レバレッジトレーダーはより大きなリスクに直面しています。Whale InsiderはXで、Bitcoinのショートポジションが価格11万2600ドルに達した場合、30億ドル以上が清算される可能性があると指摘しました。

速報：$BTCのショートポジション、価格が11万2600ドルに達すると30億ドル以上が清算される見込み。

— Whale Insider (@WhaleInsider) October 31, 2025

執筆時点でBitcoinは10万9287ドル付近で取引されており、この閾値まであと2.48%です。そのため、わずかな上昇でもショートスクイーズが発生し、市場が急速に反転する可能性があります。

Bitcoin（BTC）価格パフォーマンス。出典： BeInCrypto

このような急激な価格変動の可能性は、ETF流出が示唆する弱気見通しを複雑にしています。Coinglassの清算データによると、多くのショートポジションが現在の水準直上に集まっています。上昇があればカバーの連鎖が発生する可能性があります。

機関投資家の償還とレバレッジ取引の相互作用により、センチメントが急速に反転する不安定な状況が生まれています。