FRBが複数の政策を発表：利下げを25ベーシスポイント継続、12月にバランスシート縮小を終了、2人の委員が金利決定に反対

トランプが「指名」した理事ミランは前回と同様に50ベーシスポイントの利下げを主張し、もう一人の票委員シュミットは据え置きを支持した。

執筆：李丹

出典：Wallstreetcn

要点：

• FRBは2回連続で25ベーシスポイントの利下げを実施し、市場予想通りの行動となった。
• FRBのバランスシート縮小は3年半続いた後に終了し、12月から満期を迎えるMBS保有分を短期国債で代替することを決定。
• 利率決定に反対した2名のFOMC票委員のうち、トランプが「指名」した新任理事ミランは前回会合と同様に50ベーシスポイントの利下げを主張し、カンザスシティ連邦準備銀行総裁シュミットは据え置きを支持した。
• 声明では「リスクバランスが変化したことを踏まえ」利下げを決定したことを再確認し、「最近の」データ指標を「入手可能な」に変更、さらに労働市場の直近指標が政府閉鎖前のトレンドと一致していること、雇用の下振れリスクが「ここ数ヶ月で増加した」と指摘。
• 「New Fed Watcher」：FRBは最近の雇用減速傾向の悪化を防ぐ努力を続けているが、経済データの欠如により今後の金利動向は不透明になっている。

FRBは市場の予想通り利下げを継続し、同時に量的引き締め（QT）の放棄を決定、1ヶ月後にバランスシート縮小（縮表）計画を終了する。

米東部時間10月29日水曜日（UTC+8）、FRBはFOMC会合後に発表し、フェデラルファンド金利の目標レンジを4.00%～4.25%から3.75%～4.00%へと25ベーシスポイント引き下げた。前回会合で今年初の利下げを実施した後、今回は1年ぶりに2回連続のFOMC会合での利下げとなった。

今回の利下げ決定は投資家の予想通りだった。今週火曜日の取引終了時点で、CMEツールによると、先物市場はFRBが今週25ベーシスポイントの利下げを行う確率を99.9%、12月の次回会合でも25ベーシスポイントの利下げを継続する確率を91%と見込んでいた。これは、市場が今年中に合計3回の利下げをほぼ完全に織り込んでいることを示している。9月の前回FOMC会合後に発表された金利見通しでは、大多数のFRB政策決定者が今年の利下げ回数を6月発表の2回から3回に引き上げていた。

前2回の会合と同様、今回もFRBの政策決定層は利率行動について統一見解に至らなかった。米国大統領トランプが「指名」した新任理事ミランを含む2名のFOMC委員が25ベーシスポイントの利下げ決定に反対票を投じ、FRB内部の意見の相違が続いていることを示した。今回は利下げ幅と今後の行動の両方で意見の分裂が見られた点が以前と異なる。

FRBは今回、12月からQTを終了することを発表したが、これは驚きではない。2週間前、FRB議長パウエルはバランスシート縮小の停止を示唆し、銀行の準備金は依然として十分であり、今後数ヶ月で縮小停止に近づく可能性があると述べていた。今週Wallstreetcnの記事では、Goldman SachsやJPMorganなど大手ウォール街銀行の大半が、最近のマネーマーケットで流動性逼迫の兆候が見られるため、FRBが今週縮小停止を発表すると予想していた。

今回の決定声明発表後、「New Fed Watcher」と呼ばれるベテランFRB報道記者Nick Timiraosは次のように述べた：

「FRBは再び25ベーシスポイントの利下げを実施したが、（経済）データの欠如により今後の動向は不透明になっている。」

「FRBは2回連続で会合ごとに利下げを行い、最近の雇用減速傾向の悪化を防ぐ努力を続けている。FRBの積極的な利上げの巻き戻し作業の中で、最も容易な部分はすでに終わった可能性があり、FRB当局者は次の利下げ幅について議論している。政府閉鎖によるデータ欠如で、この難しい作業はさらに複雑になっている。」

バランスシート縮小は3年半で終了　短期国債が満期MBS保有分を代替

今回会合後の決定声明で、前回との主な違いはまずバランスシート縮小の調整にある。

声明では、FRBが米国債、機関債、機関MBSの保有を引き続き減らすことを再確認せず、明確に次のように述べている：

「（FOMC）委員会は、12月1日をもって証券保有の減少を終了することを決定した。」

これは、FRBのバランスシート縮小が3年半続いた後に終了することを意味する。

FRBは2022年6月1日からバランスシート縮小を開始し、昨年6月に初めて縮小ペースを緩め、米国債の月間最大縮小額を350億ドルから250億ドルに引き下げ、今年4月にはさらに緩和し、米国債の月間縮小上限を50億ドルに、機関債と機関MBSの月間償還上限は350億ドルのままとした。

今週水曜日（UTC+8）にFRBが発表した金融政策決定執行通知によると：

10月と11月に満期を迎える米国債については、FRBは月間50億ドルの上限を超える元本支払い分を入札ロールオーバーで延長し、12月1日からは全ての米国債元本を入札ロールオーバーで延長する。

10月と11月に満期を迎える機関債および機関MBS保有分については、FRBは月間350億ドルの上限を超える元本支払い分を延長し、12月1日からは全ての機関証券元本支払い分を国債に再投資する。

これは、12月にバランスシート縮小計画を停止した後、FRBのMBS償還元本が短期米国債に再投資され、満期を迎えるMBS保有分が短期国債で代替されることを意味する。

バランスシート縮小の決定について、Timiraosは、FRB当局者は長らく、オーバーナイトローン市場で銀行の現金保有がもはや大量に余剰でない兆候が見られた場合、縮小を停止すると述べてきたが、過去1週間でそのシグナルがより明確になったと指摘。FRBは12月から短期国債で満期債券保有分を代替する。

反対票委員ミランは50ベーシスポイントの利下げを主張　シュミットは据え置きを支持

今回のFRB決定声明の2つ目の大きな違いはFOMCの投票結果である。今回の反対票は前回より1人多く、7月末の前々回会合と同数となった。

投票結果によると、パウエルら10名の投票委員が再度25ベーシスポイントの利下げに賛成。反対した2名のうち、9月FOMC会合前に就任した臨時FRB理事ミランは前回会合の積極的な利下げ主張を維持し、依然として50ベーシスポイントの利下げを希望。カンザスシティ連邦準備銀行総裁シュミット（Jeffrey Schmid）は据え置きを支持したため異議を唱えた。

これは7月末FOMC会合の投票状況とは全く異なる。当時は2名が利下げ停止決定に反対票を投じていた。2名の反対者――FRB理事ウォラーおよびトランプが指名した金融規制担当FRB副議長バウマンは当時、25ベーシスポイントの利下げを支持していた。

JPMorgan Asset Managementのグローバル債券責任者Bob Micheleは、パウエルはFRBのコントロールを失いつつあるとコメント。「説得力のある」リーダーがFRBを率いる必要がある。トランプは米財務長官ベセントをFRBに送り込み、トランプ自身の金利政策意見を宣伝せざるを得なくなるかもしれない。

労働市場の直近指標は政府閉鎖前のトレンドと一致　雇用下振れリスクは「ここ数ヶ月」で増加

今回のFRB決定は、前回と比べて経済情勢の表現にも違いが見られる。関連調整は主に、米連邦政府が10月以降継続して閉鎖され、様々な経済データの発表が遅れている影響を反映している。

前回声明の冒頭では「最近の指標は上半期の経済成長の鈍化を示している」と再確認していたが、今回は「最近の」を「入手可能な」に変更し、次のように述べている：

「入手可能な指標は、経済活動の拡大ペースが鈍化していることを示している。」

前回声明では「雇用増加は鈍化し、失業率はわずかに上昇したが依然として低水準を維持。インフレ率は上昇し、依然としてやや高い水準にある」としていたが、今回は労働市場とインフレ動向に時限を設け、さらに直近の労働市場指標が政府閉鎖前に発表されたデータのトレンドと一致していることを追加。声明には次のように記載：

「今年の雇用増加は鈍化し、失業率はわずかに上昇したが、8月時点では依然として低水準を維持。さらに直近の指標もこれらのトレンドと一致している。インフレ率は年初から上昇し、依然としてやや高い水準にある。」

上記の追加表現は、2週間前のパウエルの発言と一致している。彼は当時、「我々が把握しているデータに基づけば、4週間前の9月会合以降、雇用とインフレの見通しに大きな変化はないと言える」と述べていた。

前回声明と同様、今回も利下げ決定は「リスクバランスが変化したことを踏まえ」たものとされている。

今回の声明でも、FOMC委員会は完全雇用と物価安定という二重の使命において直面する2つのリスクに注力していることを再確認し、前回声明で追加された雇用下振れリスク増加の判断をほぼ踏襲しているが、唯一の違いはこのリスク変化に時間的限定語を加えた点である。

今回は前回のようにFOMCが「雇用下振れリスクが増加したと判断」とはせず、

「（FOMC）委員会は二重の使命に直面するリスクに注目し、ここ数ヶ月で雇用下振れリスクが増加したと判断している。」

以下の赤字で、今回の決定声明が前回と比べて削除・追加された内容が分かる。