リップル（Ripple）社、IPOの憶測を否定=グローバル展開と機関投資家の拡大を優先

リップル社長がIPOの憶測を否定

リップル（Ripple）社のモニカ・ロング（Monica Long）社長は、IPO（Initial Public Offering：新規株式公開）のタイムラインは設定しておらず、現在の仮想通貨IPOのトレンドよりも自己資金による成長を優先すると表明した。

仮想通貨に特化した金融テクノロジー企業であるリップル社のモニカ・ロング社長は、リップルがブロックチェーンのイノベーションや最新情報について議論する年次イベントリップル・スウェル・カンファレンスに出席。その中で、IPOが間近に迫っているとのうわさを強く否定した。

同社は、株式市場から戦略的に独立していることを強調。上場ではなく、機関投資家とのパートナーシップ強化と世界的なリーチ拡大を目指しており、上場に向けた「計画もタイムラインもない」と述べた。大手メディアのブルームバーグに対して同社長は、十分な資本を有しており、同社がIPOを必要とせずにすべての成長戦略に必要な資金を調達できると 語った 。

昨年（2024年）のリップル・スウェル・カンファレンスにおいて、ブラッド・ガーリングハウス（Brad Garlinghouse）CEO（最高経営責任者）は、同社の強固な財務状況と SEC （米国証券取引委員会）との法的争いを鑑み、IPOは優先事項ではないと述べている。リップル社とSECが控訴を取り下げることで合意したことで、数年にわたるこの争いは今年初めに正式に終結している。

5億ドルの資金調達とRLUSDで市場における地位を強化

リップルが非公開化を決定した背景には、5億ドル（約766億円）の資金調達ラウンドを成功させ、企業価値を400億ドル（約6兆円）に引き上げたことが背景にある。

この資金調達には、ギャラクシー・デジタル（Galaxy Digital）などの有力な機関投資家が参加し、リップルの長期ビジョンに対する強い信頼を示した。

また、リップルの機関投資家向けステーブルコイン「RLUSD」は、発行後1年で時価総額10億ドル（約1,532億円）を突破した。これは、リップルの幅広い決済インフラに統合された、コンプライアンスに準拠した米ドル建てステーブルコインへの需要の高まりを浮き彫りにしている。

これらの戦略的取り組みは、コンプライアンスとスピードに重点を置いた、機関投資家向けブロックチェーン決済プロバイダーとしてのリップルの地位を強化する。