あなたがbitcoinを理解できないのは、お金が実在するものだと思っているからです。

2017年の古い記事は、今なお強い衝撃を与え続けている。

原題：「You Don’t Understand Bitcoin Because You Think Money Is Real」

執筆：Maria Bustillos、Popula.com 記者・編集者

翻訳：Eric、Foresight News

人々はよく、bitcoinは幻想であり、集団的な幻想だと言う。それはネット空間に存在する単なる数字であり、蜃気楼のように、石鹸の泡のように儚いものだと。bitcoinを支えているのは、それを買う愚か者たちの信念、そしてその愚か者たちからbitcoinを買うさらに愚かな者たちの信念以外に何もない。

これらは確かに事実だ。

しかし、より理解しがたいのは、dollarもまた幻想であるということだ。dollarも主にネット空間の数字で構成されており、時には紙幣や硬貨という形で存在することもあるが、紙幣や硬貨が物理的に存在していても、それが表すdollar自体は実体がない。dollarを支えているのは、それを支払い手段として受け入れる愚か者たちの信念、そして再びそれを受け入れることに同意する他の愚か者たちの信念だけだ。主な違いは、少なくとも現時点では、dollarという幻想がより広く、より強く認められていることだ。

実際、我々のdollarの約90%は完全に抽象的なもので、物理的な形では全く存在しない。James Surowieckiは2012年のレポートでこう述べている。「アメリカのマネーサプライのうち、現金や硬貨の形で存在するのは約10%、約1,000 billions dollarだけだ」（現在は約1,500 billions dollar、総供給量は13,700 billions dollar）。銀行システムが気まぐれにさらに多くのdollarを創造するのを妨げるものは何もない。2017年10月時点で、M2マネーサプライの13,700 billions dollarのうち、13,500 billions dollarは1959年以降に創造された。つまり、M2はほぼ50倍に拡大したことになる。

dollarは、いわゆる「法定」通貨だ。「法定」とはラテン語で「存在せよ」という意味で、「fiat lux（光あれ）」や「fiat denarii（リラ、ボリバル、dollar、ルーブルあれ）」のように使われる。歴史的に、国家の指導者が通貨を作り出す誘惑はほとんど抗しがたいものだった。このような乱用の明白な結果の一つがインフレである。1959年の1dollarの購買力は、今や12セントにも満たない。

bitcoinブロックチェーンの創設は、この歴史的な弱点に対応するためのものでもあった。2140年頃に2,100万枚目のbitcoinが採掘された後、システムはそれ以上bitcoinを生み出さなくなる。

詐欺師や泥棒は、あらゆる通貨システム（あるいは価値の保存手段）を管理・計算するために設けられた構造の抜け穴を突いて、常に悪事を働こうとする。（例：パナマ文書、Bernard Madoffによる650 billions dollarのポンジスキーム、ロンドン・ホエール事件、LTCMとBCCIの破綻、イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の盗難、2008年金融危機、Mt. Gox、The DAO、USDTの盗難など）。すべての価値保存手段は標的となり、どんな交換システムでも、正当な手段であれ不正な手段であれ、富は創造され、失われる。しかし、時に驚くほどであっても、十分な数の人々が善意で行動し、通貨システムの完全な崩壊を防いでいる。

暗号資産とdollarの間には、いくつか根本的な違いがある。例えば、bitcoinシステムで行われる取引は、偽造不可能な台帳に記録されており、この台帳は銀行や政府の権威ではなく、誰でも自由に参加できる公共のコンピュータネットワークの力に依存している。また、bitcoinの供給量は最終的に固定される。当然ながら、暗号資産の匿名性は（未記名の）現金ほど完璧ではないかもしれない。

通貨そのものが幻想であり、集団的な幻想だ。あなたはそれを稼ぎ、増やし、保存しようと努力するが、結局のところ、それが持つ唯一の現実は象徴的な力だけだ。ある意味で、それは畏敬の念を抱かせる。

我々があの緑色の紙幣、Krugerrand金貨、Ethereum、ポンド硬貨の価値について共有している理解こそが最も重要であり、その共通理解には固定された意味はなく、常に変化している。すべての通貨、すべての流通手段の価値は不安定で抽象的であり、さまざまな資産との固定レートを設定したり、金利を調整して流動性をコントロールしようとする努力の前でも、それは変わらない。通貨とは、ネットワーク内の各当事者の利益を代表する、絶えず変化するプロトコルネットワークに過ぎず、それは常に人類の信頼ネットワークの中の脆い糸であり続けてきた。

難民が国境を越えるために巨額の損失を被って取引する「逃避資本」を考えてみてほしい。それも確かにお金だが、それがあなたの「見えない」給料、つまり虚空の中であなたの銀行口座の数字とぶつかるもう一つの数字と、どれほど共通点があるのだろうか？給料日と市場に行く日の間に、アボカドやコーヒーの価格が上がったり下がったりするかもしれない。自然災害の際には、人々は数ガロンのきれいな水に非常に高い価格を払うことを突然受け入れるようになる。では、「1dollarの価値」とは一体何なのか？

暗号資産（bitcoinなど）やそれを支えるブロックチェーン技術に対するよくある反論は、通常の通貨の一時性と脆弱性という事実を考慮していない。もし通貨が現実的で堅固なものであり、人間の機関への信頼以外の何かによって「支えられている」と考えるなら、暗号資産を理解することはできない。dollarは「アメリカの全信仰と信用」によって支えられている。しかし、それは一体何を意味するのか？

それは、あなたが1dollarを持ってアメリカ財務省に行き、それを交換してほしいと頼めば、彼らは1dollarをくれるということだ。あるいは、もしあなたが望むなら、25セント硬貨を4枚くれるだろう。

残念ながら、ギリシャ、ベネズエラ、スペインなど不安定な政府の通貨危機は、暗号資産の急騰を引き起こしてきた。2013年、キプロス政府が銀行危機を解決するために市民の銀行預金を強制的に7%減額しようとしたとき、bitcoinの価格は急騰した。その理由は、おそらく多くのユーロ保有者、特に債務に苦しむ南欧の人々が、キプロスの銀行よりもbitcoinの方がより信頼できる「資金の避難所」だと推測したからだ。スペインの預金者も、次に破綻するのは自分たちではないかと考えたに違いない。

要するに、我々の既存の金融機関は元々欠陥だらけで、常に腐敗の傾向を持っている。bitcoinの謎めいた発明者が動き出す前から、状況はそうだった。Satoshi Nakamotoはbitcoinの「ジェネシスブロック」を立ち上げた際、こう明言した。「The Times 2009年1月3日 財務大臣が銀行への2度目の救済を実施へ」。bitcoinは最初から政治的動機を持ったプロジェクトであり、改ざん不可能なデジタル取引媒体を作ることで、現行の銀行システムより優れた代替案を築くことを明確な目標としていた。

すべての暗号資産（bitcoinを含む）の背後にある理論は、分散型コンピュータネットワークによって生み出される記録が改ざん不可能になり、理論的には政府よりも通貨の健全性を保証できるというものだ。これまでのところ、いくつかの重大な挫折はあったものの、bitcoinが構築したブロックチェーンシステムは少なくとも部分的にこの理論を証明してきた。2009年以来、100万枚以上のbitcoinが盗まれてきたが、bitcoinの基盤となる分散型台帳、会計システムは、今のところ安定しており、改ざんされていない。

bitcoin初期に起きた多くの盗難や詐欺事件は、映画『黄金』を思い起こさせる。1920年代を舞台にした、強欲と腐敗の物語だ。間違いなく、手に入れやすい巨額の富の見込みは人を狂わせる。しかし注意すべきは、強欲が罪や狂気を引き起こす傾向があっても、goldの価値自体が消えるわけではないということだ。

本当の警告はこうだ：bitcoinの台帳が改ざんされずに保たれているのは、システムが分散化されているからだけでなく、その巧妙な暗号防御によるだけでもなく、幼少期に善意と理性を持った開発者たちが支えてきたからだ。唯一の「消防隊長」Gavin Andresenが、初期の危機で冷静に指揮を執らなければ、bitcoinはとっくに消えていたかもしれない。今日でも、絶え間ないフォークや成長の痛みがシステム全体に「ストレステスト」を与えている。現時点（個人的見解）：コア開発者の信頼性は低下し、多くの人が彼らが自分の利益しか考えていないと見ている。この不信感はbitcoinの未来だけでなく、ブロックチェーン技術全体の展望にも長期的な傷を残す可能性がある。

もう一つの問題は、初期の暗号資産投機家が「搾取」されやすかったことだ。その理由は二つある：

1. 当時、安全な保管方法を作るのが難しかった；
2. 法定通貨を安全に暗号資産に入出金するシステムがまだ未成熟だった。

2014年に発覚したMt. Gox取引所で約80万枚のbitcoinが盗まれた事件は、暗号資産エコシステム全体に「原罪」の烙印を押した。世間は「bitcoinがハッキングされた」と誤解したが、実際にハッキングされたのは最大の取引所であり、昨年バングラデシュ中央銀行がニューヨーク連邦準備銀行の口座から6,300万dollarを盗まれたのと同じく、問題は通路であって通貨自体ではなかった。

詐欺があるからといって「bitcoinは詐欺だ」と言うのは、Jamie Dimonの会社が不正を働いたから「金融業界全体が詐欺だ」と言うのと同じくらい馬鹿げている。「bitcoinはダークウェブで麻薬取引に使われている！」と言う人もいるが、ほとんどの100dollar札にはコカインの痕跡が付着している。もしそれが嫌なら、余った100dollar札は私に送ってほしい。現金が犯罪に使われるからといって、その正当性を否定できるだろうか？できない。真実は、金銭は生まれながらにして汚れているということだ。

そう遠くないうちに、今bitcoin取引を支えているブロックチェーンシステムは変形し、他のシステムと融合するだろう。なぜなら、その価値は計り知れないからだ。ウォール街からサンドヒルロードまで、投資家たちはすでにブロックチェーン企業に巨額の資金、時間、労力を投じている。人類が「何かが本当に起きたかどうか」を証明する必要がある限り、ブロックチェーン技術はプログラムによって改ざん不可能な答えを提供できる。Satoshi Nakamotoが2009年に発表したシステムにどれだけ欠点があろうとも、彼は人類が銀行や政府などの外部権威に頼らずとも、完全無欠の取引台帳を創造できることを証明した。この一歩を踏み出した以上、もう後戻りはできない。

どんな通貨も、その安定を維持しようとする努力は常に「崩壊寸前」の状態にある。取引の操作や偽造の機会がある限り、人間の本性として必ず誰かが不正を働こうとする。たとえ先進国であっても、その限られた脆弱な安定には、無数の原則を守る人々の不断の警戒と修復が必要であり、100%の確実性は永遠にない。「金銭は現実である」という幻想を守る戦いは、決して終わることはなく、終わることもない。