中国の「クリプトクイーン」、42億ポンド規模のビットコイン・ポンジスキームで懲役11年の判決

中国のクリプトクイーンに懲役11年の判決

55億ドル（約8,484.6億円）規模のビットコイン（Bitcoin/BTC）詐欺を首謀したとして逮捕された中国の「クリプトクイーン」ことチアン・ジーミン（千志民）容疑者が英国で懲役11年の判決を受けた。

英国の裁判所は、仮想通貨マイニング事業を装ったポンジスキームを通じて12万人の投資家から詐取した数十億ポンド相当のビットコインをロンダリングしたとして、中国国籍の同容疑者に対し、英・ロンドンのサザーク刑事法院で懲役11年8カ月の 判決 を下した。検察は、同容疑者が典型的なポンジスキームを運営し、新規投資家の資金を使って既存の参加者に支払いを行っていたと判断。高度なマーケティング手法を用いて中国の高齢者をターゲットにしていたことが捜査の過程で判明した。

BBCによると、容疑者は2013年に中国で藍天格瑞（藍天格瑞）を設立し、仮想通貨マイニングと医療技術製品からの収益を約束。同社は、人民大会堂などの著名な会場で大規模イベントを開催し、退職者の愛国心と社会的孤立を悪用していた。当局はこの事件に関連して6万1,000BTCを押収しており、その価値は現在の市場レートで65億ドル（約1兆円）に達すると報じられている。

被害者の一人である于氏はBBCに対し、「私たちの愛国心がアキレス腱でした。彼らは中国を世界一にしたいと言っていました。」と語った。このスキームは、毎日少額の配当が投資家の信頼を築き、投資家は最大8%の金利で資金を借り入れ、投資額を増やすように。于氏と妻は当初、合わせて12万元（約2,600万円）を投資したが、この計画が破綻した際にすべてを失ったという。

ビットコイン詐欺師のジーミン容疑者

同容疑者は、罪状を翻し、仮想通貨を通じた犯罪財産の保有と移転を認めた。当初は中国政府の取り締まりの被害者であり、「成功した仮想通貨起業家」であると主張していた。

しかし、捜査により、同容疑者の会社が、何も知らない投資家に400億人民元（約8,664億円）近くを投資していたことが明らかになった。その後の詐欺行為により、彼女は60億人民元以上を横領し、その収益はビットコインで保管されていたという。

中国当局が詐欺の首謀者たちを摘発すると、同容疑者は逃亡。最終的に偽造書類で英国に入国し、資金洗浄を繰り返していた。当局によると、同容疑者は共犯者を募り、不正に得た仮想通貨で豪遊しながら贅沢三昧だったとのこと。共犯者の一人であるジェン・ウェン（Jian Wen：建文）容疑者は懲役6年以上の刑を言い渡されている。ジーミン容疑者にとって11年の刑は、本来であれば最長14年の刑期を言い渡されるところだったが、それよりわずかに軽い刑となった。

今回の判決は、国際的な詐欺計画に関わる仮想通貨関連の金融犯罪を取り締まるという英国当局の取り組みにおいて、重要な節目となった。