オーストラリアで詐欺急増、ReportCyber悪用が深刻化

AFPが警告、政府ポータルを悪用した高度ななりすまし

オーストラリアで、政府の公式ポータル「 ReportCyber 」を悪用し、警察官になりすまして仮想通貨を盗む詐欺が急増している。

🚨Crypto crime is rising fast, bad actors now spend 14x higher fees to stay hidden

Report By @chainalysis

Crypto Theft in 2025 (So Far)
-> $2.17 Billion Stolen by Mid-July 2025
– > Already more than all of 2024

Major Hack: Bybit (North Korea-backed)
–> $1.5 billion stolen… pic.twitter.com/QxFwoxEhYa

— Kashif Raza (@simplykashif) July 18, 2025

詐欺師は盗まれた個人情報を使い、被害者に関する虚偽の報告を同ポータルへ提出し、その参照番号を提示して信頼性を装うケースが相次いでいる。被害者は警察からの正当な連絡だと誤認し、詐欺師の指示に従ってしまう危険性が高まっている。

政府ポータル悪用で高まる偽装性

詐欺師はまず AFP （オーストラリア連邦警察）職員を名乗り、被害者に対し「仮想通貨関連のデータ漏えいで身元が特定された」と接触する。

本物の報告書に似せた参照番号を伝え、ReportCyberで確認するよう促すことで、手口の信憑性を高めている。その後、別の詐欺師が仮想通貨プラットフォームの担当者を装い、被害者に資産を「コールドストレージ」と称する別のウォレットへ移動するよう圧力をかける事例が確認されている。提供されたウォレットは詐欺師のものであり、資産流出の危険が高い。幸い、一部の被害者は矛盾に気付き、送金前に通話を中断するケースも報告されている。

この手口は、実際の捜査手続きに似せた言動や架空の捜査シナリオを提示するなど、ソーシャルエンジニアリングとして高度化している。複数の偽装役が登場し、被害者を段階的に追い込む構造を持つ点も特徴だ。

ソーシャルエンジニアリング被害が拡大

仮想通貨関連では世界的にソーシャルエンジニアリングの脅威が増している。

過去には、主要サービスのサポート担当者を装った詐欺によって9,100万ドル（約140億円）相当のビットコイン（Bitcoin/BTC）が盗まれた事件や、偽コールドストレージサイトを使って280万ドル（約4.3億円）相当の資産が奪われたケースも確認されている。また、フィッシングネットワークを通じて2,000万ドル（約30億円）以上が盗難されるなど、攻撃の巧妙化が進む。

一方、 AUSTRAC （オーストラリア取引報告分析センター）は仮想通貨ATMが詐欺やマネーミュールに悪用されている点を問題視し、規制強化に向けた権限拡大を求めている。高額取引の約85%が詐欺や不正行為に関連し、年間取引件数は約15万件、総額は約2億7,500万ドル（約425億円）に達する。特に50~70歳の利用者が72%を占めており、リスクが集中している。

AFPは確認徹底を呼びかける

AFPはReportCyberが依然として安全なツールであると強調しつつ、提出していない通報に関する連絡を受けた場合は即時に通話を切り、「1300CYBER1」で確認するよう国民に 呼びかけ ている。

本物の法執行官が仮想通貨ウォレット、銀行口座、シードフレーズなどの機密情報を求めることはないとして、慎重な対応を促している。