暴落チャートの中で、一群のクジラと機関投資家の運命が市場によって試されており、巨額の含み損と高レバレッジの清算リスクが絡み合い、暗号資産市場の冬の様相を呈している。11月18日、暗号資産市場は再び激しい売りに見舞われ、bitcoinは92,000ドルの節目を割り込み、ethereumは3,000ドルの心理的防衛線をも失った。
米国株、金、暗号資産を巻き込んだこの全面的な下落の中、通称「冷静開単王」と呼ばれるクジラ投資家は、過去2日間で20倍レバレッジのbitcoinロングポジションを開設し、2,870万ドルもの資金を投入、市場の下落に驚異的なギャンブラー精神で立ち向かっている。
1. 暗号資産の全面下落
● 暗号資産市場は厳しい試練に直面している。11月18日時点でbitcoinは90,000ドルを割り込み、24時間で4.48%下落。この価格はbitcoinが2025年以来の上昇分をすべて吐き出したことを意味し、市場心理は急激に悪化している。
● 同時に、ethereumはさらに脆弱な動きを見せ、価格は2,975ドルまで下落、10月初旬からの累計下落率は24%に達している。
● この売りは暗号資産分野にとどまらず、米国株や金も例外ではなかった。月曜日、金融市場は再び激しい売りに直面し、金から暗号資産、テック株まで多くの資産が巻き込まれた。
● S&P500指数とNASDAQ総合指数はいずれも50日移動平均線を下回り、S&P500指数が2007年以来このトレンドライン上で続いていた最長期間が終了した。
2.「冷静開単王」の逆張りベット
市場が低迷する中、「冷静開単王」と呼ばれるクジラ投資家（ウォレットアドレス：0x9263c1bd29aa87a118242f3fbba4517037f8cc7a）は、驚くべき逆張り取引を行った。11月17日、このクジラは：
● 1,409ETHのロングポジションを追加、価値は約420万ドル。推定清算価格は2,860～2,891ドル。
● 58BTCのロングポジションを追加、価値は530万ドル。推定清算価格は88,800ドル。
● 32,000SOLのロングポジションを追加、価値は410万ドル。推定清算価格は125～127ドル。
● この操作により、ETHロングポジションの総価値は約2,419万ドルに達した。しかし市場の下落が続く中、このクジラのETHポジションは現在130万ドルの含み損となっている。bitcoinロングポジションも合わせると、11月14日時点でこのトレーダーの全体ロングポジションの含み損は約122万ドルとなった。
● 短期的な損失に直面しているものの、このクジラの取引履歴は豊富な市場経験を示している。累計契約利益は2,070万ドルに上り、11月初旬には20件すべての取引で利益を上げ、当時の総利益は2,300万ドルを超えていた。
3. 機関投資家の苦境：巨額損失下での堅持と買い増し
MicroStrategy：高値での買い増し継続
かつての企業向けソフトウェアサービス企業MicroStrategy（現Strategy）は、今やbitcoinを中核資産とする新型企業へと完全に転換した。ビジネスモデルは従来の企業ソフトウェアサービスから 「ソフトウェア＋bitcoin準備金」 の二本柱へと変化したが、bitcoinが絶対的な主導権を握っている。
● bitcoin最大の保有者の一つであるMicroStrategy（現Strategy）は、依然としてbitcoin蓄積戦略を堅持している。11月10日から16日にかけて、同社は8億3,560万ドル分のBTCを購入し、平均価格102,171ドルで8,178BTCを取得した。
● 今回の購入により、総保有量は649,870BTC、総コストは約48.37億ドル、平均取得単価は74,433ドルとなった。現在のbitcoin価格約91,859ドルで計算すると、MicroStrategyが新たに購入したbitcoinは明らかな含み損となっているが、全体の保有分ではまだ一定の利益がある。
BitMine：ethereum保有分が大幅な含み損
● ethereumに関しては、大口保有者BitMineが深刻なプレッシャーに直面している。BitMineが発表した保有データによると、同社は現在約356万ETHを保有しているが、ETHの平均取得コストは4,009ドルに上る。
● 現在のethereum価格で計算すると、BitMineのETH保有分の含み損は29.8億ドル、損失率は21%に達している。この巨額の含み損はBitMineの総保有価値のかなりの部分を占めており、同社の暗号資産および「ポテンシャル株」全体の保有価値は118億ドルである。
4. 市場心理：強欲から極度の恐怖へ
● 市場の下落が続く中、暗号資産投資家の心理は根本的な転換を迎えている。暗号資産市場の参加者は 「極度の恐怖」状態に陥っている。この心理変化は急速かつ劇的で、数週間前までは市場は史上最高値に酔いしれていた。
● オプション市場の取引動向もこの悲観的心理を反映しており、トレーダーは7億4,000万ドルを投じてbitcoinが11月末までにさらに下落することに賭けている。プットオプションの規模はコールポジションを大きく上回っている。
● 下落リスクへのヘッジ需要——特に9万ドル、8.5万ドル、8万ドルの価格帯でのヘッジ——が大幅に増加している。
5. 複数要因が市場動向に影響
アナリストたちは、複数の要因が現在の暗号資産市場の苦境を招いていると指摘している。
● KaikoリサーチアナリストのAdam McCarthyは「米連邦準備制度の政策とAIバブル論議が、年末までに暗号資産および各種リスク資産が直面する2大主要障壁だ」と述べた。AI分野のリスクが高まり、暗号資産市場の心理にも影響を及ぼしている可能性がある。
● トレーダーはNVIDIAが水曜日に発表する決算に注目しており、同社はテック業界および投機的リスクの風向計と見なされている。
● 同時に、米連邦準備制度が12月に利下げするとの期待の変化も市場に影響を与えており、フェデラルファンド先物市場では12月利下げの確率はわずか42%しか織り込まれていない。
● 暗号資産取引所KrakenのグローバルエコノミストThomas Perfumoは「このリスク回避心理は暗号資産市場にも波及しており、現在の市場心理は依然として非常に脆弱だ——今回の下落は業界の構造的欠陥ではなく、より広範なマクロ経済への懸念を反映している」と述べた。
