マウントゴックスが9億5300万ドル相当のBTCを移動し返済延期が続く

返済延期の中で進む大規模BTC移動

閉鎖された仮想通貨取引所 マウントゴックス （MtGOX）が10,608BTC（約9億5,300万ドル）を移動した。

債権者への約40億ドルの返済は2026年10月まで延期されており、市場への影響とともに返済プロセスの行方に注目が集まっている。

マウントゴックスは11月18日、 アーカム・インテリジェンス のデータで確認された10,608BTC（約9億5,300万ドル）をコールドウォレットから新たなアドレスへ移動した。これは8カ月ぶりの大規模送金で、ビットコイン市場が不安定な中で投資家の警戒感を呼び起こした。

今回の送金は、3月25日に893BTCが移動して以来、100万ドル超の初の大規模な取引となる。受取先のウォレット「1ANkD」は現時点で受け取ったBTCを保持したままで、中央集権型取引所への送金は確認されていない。そのため、短期的な売却リスクは限定的と見られている。

それでも、市場関係者はこうした大口移動が売却の前段階となるケースが多い点を指摘し、引き続き推移を注視している。

返済延期が続く債権者の行方と市場の安定性

マウントゴックスは債権者への返済を1年間延長し、新たな期限を2026年10月31日とした。管財人は未完了の請求手続きや規制上の要件を理由に挙げている。

この延期により、約40億ドル相当のビットコインが市場に流入しない状態が続く。市場では、急激な売り圧力が抑制されることで安定性に寄与する面もあると見られている。一方で、2014年のハッキング事件以来10年以上待ち続けている債権者にとって、新たな遅延は大きな負担となっている。

マウントゴックスはかつて世界最大級のビットコイン取引所であり、ピーク時には全BTC取引の70%以上を扱っていた。2014年の約85万BTC流出事件後、長期にわたる民事再生手続きの中で残存資産の配分が試みられている。返済の進捗（しんちょく）と今後の法的手続きが、最終的な資産分配の行方を左右する。