Aave創設者：DeFiの王から金融インフラへ、私たちの次の10年戦争

原文タイトル：Aave Will Win: 2026 Master Plan

原文著者： @StaniKulechov

原文翻訳：Peggy，BlockBeats

編集者注：DeFiが「ナラティブ主導」の初期段階を徐々に脱し、スケール化と制度化に向かう現在、Aaveは重要な転換点に立っています。本記事は創設者Stani Kulechov自身が執筆した長文であり、単なる段階的な振り返りにとどまらず、規制の不確実性が徐々に解消された後のAaveの今後10年、さらにはそれ以上の長期的なビジョンを示しています。

米国証券取引委員会（SEC）によるAaveプロトコルへの4年間にわたる調査が終了し、Aaveはコンプライアンス面で最も消耗し、かつ不確実性の高い段階を乗り越えました。この背景のもと、Aaveは自らの役割をより明確に表現しています：もはやトップDeFiレンディングプロトコルにとどまらず、オンチェーンのグローバルな信用レイヤーを目指しています。

以下、原文です：

私はほぼ10年の歳月をAaveの構築に費やしてきました。DeFiという概念がまだ存在しなかった時代からです。この道のりで、数えきれないほどのバブルの浮き沈みを目の当たりにしてきましたが、私たちのミッションは決して変わりませんでした。

Aave創設当初、DeFi全体の規模は10億ドルにも満たないものでした。しかし今日、Aave単体の規模は当時の50倍以上に達しています。

この数年間、多くのチームが現れては消えていきました。Aave Labsは7年以上にわたり継続的に開発を続けており、長期的な実績で私たちに匹敵するチームはほとんどありません。私たちは自ら推進し、以下を実現してきました：

-Aave Protocol V1、V2、V3、そして現在進行中のV4

-AaveネイティブステーブルコインGHO

-SECとの4年間にわたるコンプライアンスおよび規制の攻防、Aaveの防衛

-Aave.comの継続的な運営、および間もなくリリースされるAave Pro

-GHOのクロスチェーン展開

-初の非EVM系統へのデプロイ

-Aave App

-Aaveドキュメント体系および開発者ツールキット

その他、ここに挙げきれない多くの取り組み

現在、Aave Protocolは史上最大規模で、最も信頼され、流動性が豊富なレンディングプロトコルとなり、ほぼ比較対象のない独自のポジションを築いています。

しかし、それでもなお、私の目から見れば、今後本当に広がるべきビジョンに比べれば、私たちはまだ「ゼロ日目」にいるのです。本記事では、今後数十年にわたる私たちの長期的なビジョンを描きます：次の1兆ドル規模の資産をAaveに取り込み、数百万人規模の新規ユーザーを本当にオンチェーンへ導くことです。

2025年のAave

2025年は、Aave史上最も成功した年となるでしょう。

私たちの純預金規模は一時750億ドルに達しました。さらに印象的なのは、5年前のローンチ以来、Aaveが累計で処理した預金総額が3.33兆ドル、貸付総額がほぼ1兆ドルに迫っていることです。

過去1～2年の間に、Aaveエコシステムはクロスチェーンの世界を全面的に受け入れました。Aaveの一貫したスタイルを継承し、現在では4つの異なるネットワークすべてでTVLが10億ドルを超える唯一のプロトコルとなっています。

さらに重要なのは、規模の面でAaveプロトコルは今や米国の上位50行の銀行と肩を並べる存在となったことです——米国は世界金融システムの中核です。

これらの成長成果により、AaveはDeFiレンディング市場の59%のシェアを占め、DeFi全体のアクティブローンの61%を担っています。

今年だけで、プロトコルは8億8500万ドルの手数料収入を生み出し、全レンディング系プロトコルの手数料総額の52%を占め、後続5大競合の合計をも上回っています。これらの手数料による継続的な収入は、AAVEの大規模な買戻し計画をさらに後押ししています。

これほどの規模で稼働するDeFiプロトコルは、業界史上前例がありません。

市場はすでに結果で答えを出しています：Aaveはもはや一時的な産物ではなく、長期的に存在するインフラストラクチャです。

次に、Aave Labsが来年に向けてどのような判断と計画を持っているかをお話しします。

2026年の展望

現時点で、私たちが次のステージに進むための全体戦略は、3つのコアピラーを中心に展開されます：Aave V4、Horizon、Aave App

Aave V4

Aave V4は、Aaveが「グローバル金融基盤」へと進化するための重要な一歩となります。これはAaveプロトコルの徹底的な再構築です。

その中核的なイノベーションは、Hub & Spoke（ハブ＆スポーク）モデルによる流動性の統合です。V4のアーキテクチャは、現在の分散した資金プール構造に代わり、各ネットワーク上に資本のハブを設置します。その上で、高度にカスタマイズ可能な「スポークモジュール」を構築し、さまざまな資産タイプに特化したレンディング市場を提供します。

この設計により、Aaveは数兆ドル規模の資産を受け入れる能力を持ち、機関投資家、フィンテック企業、各種企業が深く信頼できる流動性にアクセスするための第一選択肢となります。

同時に、来年にはV4と新しい開発者体験を同時にリリースします。過去数ヶ月間、Aave Labsは新たなツール体系の構築に取り組んでおり、開発者がこれまでにない低いハードルでAave上にプロダクトを展開・拡張できることを目指しています。

2026年（UTC+8）に入ると、AaveはDeFi分野でこれまで見られなかった新しい市場、新しい資産、新しい統合を次々と迎えます。私たちはフィンテック企業との協業を継続し、DAOやエコシステムパートナーと密接に連携しながら、着実にTVL規模を拡大していきます。

Horizon

Horizonは、次の1兆ドルへの架け橋です。

今年初めにリリースされたHorizonは、Aaveが機関投資家向けリアルワールドアセット（RWA）に特化した専用市場です。Horizonを通じて、適格機関はトークン化された米国国債やその他の信用資産を担保として、ステーブルコインを借り入れることができます。

これはAave Labsがグローバルな大手金融機関向けに特別に設計したソリューションであり、コンプライアンス、リスク管理、運用面での現実的なニーズを満たします。安全かつ効率的な機関投資家向けオンチェーン資金流入の入り口を提供することで、Horizonは伝統金融の巨大な資本規模をオンチェーンに引き込む中核的な役割を果たします。

Horizonは、これまで実現できなかった方法で、多くのトップ金融機関をAaveエコシステムに引き入れ、Aaveが500兆ドル以上の資産基盤へと拡張することを促進します。

ごく短期間で、Horizonは最大規模かつ最速成長のRWA担保レンディングプラットフォームへと成長しました。私たちは、この成長の勢いが短期的に鈍化するとは考えていません。

現在、Horizonの純預金規模は約5億5000万ドルです。2026年（UTC+8）までに、この数字を10億ドル以上へと急速に拡大することを目指しています。そのために、Circle、Ripple、Franklin Templeton、VanEckなどのリーディングパートナーとの協力を深め、より多くのグローバル資産クラスをAaveに導入します。

Aaveが金融システム全体で真の中核的役割を果たすには、株式、ETF、ファンド、不動産とモーゲージ、コモディティ、売掛金、債券および固定収益資産をオンチェーンレンディング体系に取り込むことが不可欠です。そしてHorizonこそが、この目標を実現するための重要な布石なのです。

Aave App

Aave Appは、次の100万ユーザーへの「トロイの木馬」です。これはAaveプロトコルのフラッグシップモバイルアプリであり、DeFiを本当にすべての人に届けることを目指しています。

プロトコル自体は非常に複雑な金融システムですが、Aave Appの使命はその複雑さを隠し、直感的で使いやすいプロダクト体験を提供し、現実の経済環境における実際のニーズを解決することです。

Aave AppはPushと深く統合されています——これはグローバル向けのゼロ手数料ステーブルコイン入出金チャネルであり、世界の70%以上の資本市場をカバーしています。これにより、Aave Appは市場で最も現金からDeFiへの体験が優れたプロダクトとなります。

多くの人は気づいていませんが、モバイルフィンテック自体が2兆ドルを超える産業です。CashAppやVenmoのようなアプリは数千万人のユーザーを持っていますが、「貯蓄」に関してはほとんど本格的なプロダクト機能がありません。一方、Aave Appは人々の貯蓄方法を根本から変える可能性を秘めています。

来年初頭（UTC+8）、Aave Appを正式に全面リリースし、最初の100万ユーザー獲得への道を歩み始めます。これはこれまで十分にリーチできていなかった新しい市場を通じて、Aaveプロトコルに直接成長の原動力を注入します。プロダクトレベルでの大規模な採用がなければ、Aaveが1兆ドル規模に拡大することは不可能です。

明確な立場を貫き、継続的にイノベーションし、自由にプロダクトを設計することこそが、Aaveにとって最も有利な道です。

Aave Labsでは、常に3つのことに集中しています：次の1兆ドル規模の資産をオンチェーンに導入すること、数百万人の新規ユーザーをDeFiに呼び込むこと、$AAVEを勝たせること

このビジョンは、私たちが構築すべきものが伝統的な金融システムの「代替品」ではなく、構造的により優れた金融インフラであることを求めています。

さらに重要なのは、Aave LabsとAaveプロトコルの長期的な成功が高度に一致していることです。このアラインメントは口先だけでなく、行動に現れています：

Aave Labsおよびその従業員はAAVEの最大保有者です

私たちが開発するすべてのプロダクトは、プロトコルのコア手数料キャプチャメカニズムを強化するためのものであり、その収益はすべてDAOに帰属します

Aave LabsがAaveに提供したプロダクト数は、他のどのチームよりも多いです

8年間、私はAaveの成長を推進し続けてきました——プロダクトイノベーション、グローバルなビジネス展開、大規模なコミュニティイベントの開催など、あらゆる面で

ちなみに、私は昨日オンチェーンで1000万ドル分のAAVEをまた購入しました

DAOフォーラムでさまざまな議論があることも承知しています。はっきり言います：私以上にAaveを気にかけている人はいません。オープンな議論こそがDeFiガバナンスの特徴であり、「アラインメントがない」ことを意味するものではありません。

Aave、グローバル信用レイヤーとして

私たちの数十年にわたる長期目標は、オンチェーン経済の基盤となる信用レイヤーを構築することです。Aave Labsの見解では、将来あらゆる価値がトークン化され、生産的な担保として利用され、仲介者なしで貸借できるようになるでしょう。

そのような未来において、Aaveはすべての基盤となり、次世代の金融プロダクトやサービスが構築される流動性レイヤーとなります。

過去数年間、私たちが行ってきたすべては、このまだ先にある目標のための基盤作りでした。

ここに、Aave DAO、多くのサービスプロバイダー、そしてAaveに貢献してきた無数の開発者に心から感謝します。これは真の集団的行動であり、プロトコルを中心に成長したエコシステムに感謝しています。Aave Labsは次のステージの課題に立ち向かう準備ができており、常にAaveの長期的利益を最優先とします。

オープンな環境での構築は容易ではなく、ガバナンスやDeFi自体も非常に難しいものです。Aaveは時間の試練に耐えた数少ないDeFiプロトコルの一つであり、それこそがAaveのユニークさです。イノベーションを常に最優先に——これこそがAaveエコシステムが継続的に成功できる理由です。

しかし、今はまだ祝う時ではありません……私たちはまだ始まったばかりです。

Aaveは勝つでしょう。